鴨鍋スープの黄金比
鴨鍋に限らず、和食の味付けには黄金比というものがあります。最も基本的かつ重要なフォーミュラは、醤油 : みりん = 1 : 1というものです。
世のレシピ本には「大さじいくつ、何ml」といった単位で調味料の分量が記載されていますが、比率さえ覚えてしまえば、どんな分量であっても確信を持って味を決めることができます。この和食の基本公式を適用した上で、あとは好みやその日のコンディションなどに応じて、味見で微調整すればいいだけです。
それでは、鴨鍋のスープに適した黄金比をお伝えします。
醤油 : みりん : 酒 : だし = 1 : 1 : 1 : 15
たとえば、こんな感じです。
- 醤油 大さじ2 (30ml)
- みりん 大さじ2
- 酒 大さじ2
- だし 450ml (30mlの15倍)
これのベースとなっているのが「醤油 : みりん : だし = 1 : 1 : 15」という京風煮物の基本公式で、だしの部分を「酒+だし」に分解しています。したがって、本来であれば「1 : 1 : 1 : 14」もしくは「1 : 1 : 2 : 13」とかでもいいかもしれないのですが、覚えにくいので上記の配合で問題ないと思います。だしの部分は好みで増減していただければと。
構成要素がシンプルなだけに、調味料の個性や良し悪しが味を大きく左右します。なので、できるだけいい調味料を選ぶことをおすすめします。
特に、みりんと酒は注意が必要です。スーパーなんかによく、みりん風調味料というのが売っていますが、あれはみりんの代替品にはなりません。味もさることながら、アルコール分が少ないため、みりん同等の機能が果たせないそうです。純米の本みりんが必要です。まっとうなみりんは、冷やしてショットグラスなんかで飲んでも、リキュールみたいでとてもおいしいです。
同様に、いわゆる料理酒も、酒税がかからなくなるよう塩が添加されているので、味にいい影響を与えません。普通に飲める純米酒がいいですね。大吟醸みたいな冷やして飲むお酒よりも、燗をつけると旨い酒が適しているようです。長期熟成することでアミノ酸を増した、料理用に特化した純米酒というのもあります。
調味料について語るときりがないので、また別のエントリーで掘り下げてみたいと思います。
さて、和食の味付けを「比率」という観点から解説した料理本は、私が知る限り、以下の『割合で覚える和の基本』しかないのではないかと思います。初版が出たのが2001年。今でも全く色褪せないマスターピースだと思います。
- 作者: 村田吉弘
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2001/10
- メディア: 大型本
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表紙のボウルはたぶん柳宗理ですね。美しいです。